ごあいさつ

まず、はじめに、1999年から今日にいたるまで、時間簿をつけてくださった多くの方々に感謝を申し上げます

時間簿がはじめて<朝日新聞>と<読売新聞>に取り上げられたその早朝から、自宅の電話が鳴り響きました。家族の朝食の支度に忙しい時間帯にです。
「時間簿をゆずってほしい」
「助けてください、三人の子どもの世話で顔を洗う暇もありません。ごはんを立った食べています」
「介護でクタクタ、わたしの方がくたばってししまいそう」
「孫の世話、医者通いでクタクタ」
電話の途中「ちょっと、待ってください」と言って受話器から離れたのは、家族に朝食の世話をしたり、子どもたちを学校に送り出すためだと、わたしはすぐ想像できました。

電話は途切れることなく、夜の7時すぎまで鳴り響きました。この頃、わたしは地域新聞を発行していましたので、スタッフと代わるがわる一人一人の声をもらさずノートに記入しました。まるで生きた証言を書き写すかのように・・・。
北海道から九州から、一か月間で約千件。これほどの多くの主婦たちが時間簿を求めた、というより、すがってきた叫びにもきこえました。

そうです。主婦の時間をだれが世に訴えたでしょう。ずっと長い歴史、主婦は三食昼寝付の無償労働の評価をされてきました。育児の大変さ、介護の大変さを、時間簿で救いたいというわたしの熱い思いと、朝食の支度のもっとも忙しい朝の時間に電話をかけずにはいられなかった全国の主婦たちの心がつなかったのです。ノートに書き写した文字は、今も生生しく在りし日を語っています。

***


10数年たっても、そして、家電がいくら普及しても、育児、介護の大変さを言い続けたくて、時間簿で人々の生活をみたい、その強い思いは今も変わりません。けれども、個人情報で時間簿を簡単につけてもらえない時代になりました。
それでも、これまでに約4000人の時間簿に目を通すことができました。
貴重な時間簿があったからこそ、著書を出版し、雑誌やテレビ、新聞などで紹介する機会を与えていただくことができました。この場をお借りしてあらためてお礼を申し上げます。

思えば、時間簿は紙でした。長い間、わたしの書棚にしまったままでした。2011年からアイフォンやアイパッドが出回り、本や雑誌は電子書籍に移行し、そうした中で、「時間簿」もwebの流れに直面しました。。貴重な生きた資料を人の目に触れないでしまったままにおくのは、なんだかわたしの怠慢かエゴのように思えるようになりました

「いつでも」「だれでも」見られるようにするために、このサイトを立ち上げることにした。時間簿をwebで使用させていただきますことを誇りに思います。個人情報のこともあり、ここでご紹介させていただきます時間簿は、事実に忠実に、なかにはせいぜい一か所も文字を変えさせていただきました。

、なごやかな会話、子どもを叱っている声、家族のだんらん・・・、時間簿に記入された文字があなたにきっと語りかけてくれることでしょう。お役に立てることができましたらこの上ない喜びです。 

最後にお願いとおわびがあります。
このサイトで時間簿のデーターを無断で使用したものもあります。連絡の取れない方、また、地方の連絡の取りづらい方・・・・、どうしてもわたしの心をとらえて離さない、何年たっても変わることのない貴重な時間簿を資料として使わせていただきました。
もし、ご本人が、あ、この文字はわたしのだ、困る、と思われる方は、わたしにメールをくださいますよう願い申し上げます。 あらかわ菜美